2012年5月22日火曜日

つりの楽しみに暗雲がかかった


 福島原発事故の影響で、釣りの楽しみにも、釣りの会にも影響が出るのではないかとの思いは、現実のものとなっている。つりの大会地域に放射能汚染が測定されているという。それも微量とは言えない数値が出ているから、つりは無理ではないかとの判断が出される。

 これはやむを得ないのかなという気はする。しかしつりは嗜好でやるものでもあり、競技性もあるものだ。このつりの持っている性格に異論もあるかもしれないがそれはとりあえず置くとして、「嗜好」から考えれば、多少の「危険」(放射能汚染の危険性の判断は、非常に難しい。というより、捉えがたい)は、自己判断で決められるという選択で落ち着く。

 しかし大会となれば、主催する側の「責任」も考慮しなくてはいけなくなる。その点を強調すると、「完全安心」までの保証がないうちは開催不能となる。どこまでならいいのかという問題は難しい。

 栃木県の漁協は、セシウムが一定検出されても渓流釣りについて、「再放流する」という条件で、解禁に踏み込んだ。政府のセシウム100ベクレルという基準も、消費者の心配を取り去ることはできず、生協などの事業団体は独自の基準で、仕入れをしている。

 つまっていくと、自己判断となっていくが、こんな事態に陥れた責任は、当然追及されてしかるべき。でも、現実の問題は生易しいものでない。福島沖のセシウムが高濃度だとの報道があったし、荒川河口のセシウム濃度も上がっているということだ。

 つりは「食」とイクオールではないが、趣向としての文化がある。自然と同化し親しみ、いつくしみあう文化は「すばらしい文化」だと言える。「たかが釣り」がなくなるときは、社会も尋常な状態ではなくなるだろう。