2024年7月5日金曜日

新札発行とは義務なのか?不思議な法治国家

 新札発行がイベントとしてお祭り騒ぎのように報道されている。どうも疑問があって、新札の発行がどういう法的な根拠なのかがわからなくて、NETで当たってみた。疑問は、新札発行のための経費はもちろん税金だし、新札発行による機器の改変で業者に負担が及ぶだろうと思うことで、その効果が「16千億円」という報道がどんなものだろうかということだった。5年前の麻生副大臣の記者会見があって、「先ほどの閣議後の懇談会に⋯」というものがあり、新札発行の意思決定が閣議決定で決めたのだろうかとの疑問は、そうではないらしいことがわかった。

 平成31年4月9日麻生(当時財務大臣)記者会見

先程の閣議後の懇談会におきまして私の方から新しい日本銀行券及び新しい五百円貨幣の発行について説明しております。日本銀行券につきましては偽造抵抗力強化の観点からおおむね20年ごとに改刷を行ってきたところであります。現在発行している日本銀行券については2004年に発行を開始して以来、約14年が経過いたしております。今般、3Dのホログラムなど世界最先端の偽造防止技術を搭載させていただくとともに、額面の数字の大型化などユニバーサルデザインの考え方を踏まえた券面とする改刷を行うことといたします。約5年後の2024年度上期を目途に発行できますように所要の準備に着手をいたしましたのでご報告申し上げます。

 麻生副大臣はその席で「景気刺激を考えてやっているわけではありません。」と語っていたが、今回の報道で「一兆6千億円の経済効果」とまことしやかにいわれている。いったいこれはなんのだろうか。

国立印刷局のホームページでは

・にせ札、つまり偽造を防止するために新しい偽造防止技術

・間隔はまちまちですが、近いところではだいたい20年ごとに変わっています。

と説明がされていて、やっぱり発行の意思決定は「法定化」されているものではなく。いわば政権の任意で決めていることのようだ。

 産経新聞(2024.07.03)によると

渋沢栄一の肖像を使った一万円札などの新紙幣が3日に発行されたが、今後、旧札から切り替わっていくタイミングを狙った犯罪には注意が必要だ。前回、新紙幣が発行された数カ月後には大規模な偽札事件が発生。動画共有サイトでは、新紙幣発行は「政府が預金封鎖に踏み切るため」などとする陰謀論が多くの人に視聴されている。「旧札が使えなくなる」詐欺ではすでに被害も出ており、日銀・財務省や警察、地方自治体などが注意喚起している。 

ということで、「偽造防止」どころでなくて前回の改刷の際には偽札事件や犯罪が発生し、今回も呼び込む危険もでてくることまで指摘されて、まったくなにおかいわんやの状況だ。

 その上、両替機の改変については「国の補助金」が出されるとの情報が、NET上でも出ているが、実際のところは、政府は取り組むことはしないということらしい。